MIDI POWER Pro3 裏ライナーノーツ

このPro3も、3つの点において前作までとは違っていました。

まず1つ目が、
「作品の全容が分かる前にライナーノーツなどを書かなければいけない!」
新たな試みというよりも「発売日との兼ね合いで、仕方なくこうなってしまった」ということでした。
ライナーノーツは、
「全容が判明してからその内容に則して個々の曲に関して、もしくは全体を通してコメントするモノ」
というのがそれまで私の持っていた、そして見事に覆されたイメージでした。

Pro3の場合違っていたのです。ジャケットなどの印刷物の締め切りは音楽のマスタリングよりも早いのが常ですし、何よりもMIDI POWER Proシリーズには添付データの存在があります。「POWER DISK」の中に収録されるそれら曲データは、レコーディングに使用したデータでなければなりません。それを公開するために、多くのシーケンスソフトでの動作確認やデータ書式、バグチェックなどをしなければいけません。
従って、発売日に間に合わせるためには通常のレコーディングよりも早くすべての作業を早く終了させる必要性があるのです。

そんなこんなで、Pro3を作り始めてから間もなくライナーと選曲の原稿締切りが来てしまう・・・。そういった事情がありましたので、今Pro3のライナーノーツを読んでみると、全体に煮え切らない表現が多くなってしまって、なんとも情けない状態ではあります。
そして、これ以降Pro6を作った現在に至るまで、その状況は変わっておりません。これも運命?

そして2つ目、こちらは1つ目と違ってとても建設的な部分ですが、
「リアルタイム入力を取り入れた」
点がこれまでとは違っていました。
言い換えれば、それまではほとんどの打ち込みをステップ入力で制作していたのです。
そこにこのPro4の目玉として矩形波倶楽部の古川もとあきさんのguitarをリアルタイム入力でデータを取り込みたいと考えました。それを実現したのが、収録曲「LAVENDER」です。
これが良いきっかけとなり、Pro4以降はリアルタイム入力の良さとステップ入力の緻密さを併用する現在の制作スタンスが出来ました。

更に3つ目は、MIDIアレンジCDを作るに当たり、Pro2の裏ライナーノーツに書いた「曲アレンジの方向性」もさる事ながら、アルバム全体を通しての制作アプローチを考え(といってもさほど深〜くではないのですが・・・)ながら作りました。
それと、アンケート葉書を送ってくれた方々の希望などもそのコンセプトの中にささやかではありますが反映するようにいたしました。
前回Pro2では手探りだった部分も、1作を経験した後のPro3ですので、ずいぶんと頭の中が整理されたような気がします。

また、ターゲット音源であるSC-88を使っての制作も2作目。音源の使い方にも慣れて全体のサウンド作りも前作より更にコナレた出来になっているのではないでしょうか。

追伸
因みに、ライナーノーツ中にある「とあるレコーディング」というのは、PS・SS「実況おしゃべりパロディウス」のレコーディングのことでした。

入江"Anythin'" 茂明

USP