今回は、まずネタバラシから・・・。
文脈から薄々お気づきの方もいらっしゃったかもしれませんが、ライナー中の「某タイトルの外部MIDI音源用データ制作(150曲余り!)」というのは、WIN版「ときメモ」のことであります。ゲーム「ときめきメモリアル」は曲数も多いですがその曲想もバラエティに富んでいて、アレンジの方向性の自由度は、前回のPro3「ポリスノーツ」よりは高いな、・・・でも「ときメモ」ファンの数がとてつもなく多く、各曲への「思い入れ度」も相当高そう・・・。
MIDI POWERを作っている私達はフュージョン世代ですから、その得意な方向性に膨らませていくのが、私達としてはBEST CHOICE!と腹を括って制作しました。
さて、Pro3の裏ライナーに書いたように、このPro4から積極的にリアルタイム入力を取り入れました。
それを象徴するのが、「Player−MIDI Instrument」という項目にリアルタイム演奏したスタッフ名が記述してあるいる点です。
また、「打ち込み」をする際に、やはりその楽器を演奏できる、または詳しい人が打ち込むとその楽器のニュアンスが優れて表現されます。そしたら楽器の専門家が打ち込んだ方が作業時間を短縮できますし、さらに曲の完成度が高ることから、一つの曲を分業で作り始めました。
ここでデータ制作の手法のネタバラシを・・・。とはいっても私はDrums担当なのでDrumsトラックに関して中心ですが。
まずアルバムの1曲目「花に囲まれて」のDrumsは、最初アレンジ担当の“Boot”黒岩が打ち込んだものが曲を通してありました。基本のリズムパターンがそれです。
私がやったのは、曲の要所要所を「Steve Gadd」フレーズにせっせセッセと変えていきました。
すべてステップ入力で、ちょっとしたオカズ(Fill-in)やDrums Solo等、出来るだけ同じようなフレーズが出てこないように気を配りながら・・・。
また、わざとステップを微妙にずらしたり、12連符フレーズなのに1個音を抜いたり・・・。
そうする事によって、人間が演奏したようなニュアンスが・・・。聴いて頂いてどうでしょうか?
Cutting Guitarが“Bootsy”南部、「Eric Gale」風Guitar Soloが“UK”植木です。
同じような手法は7曲目の「What are you talking」のDrums Soloでも使っています。
Soloの後半にスティック同士がぶつかる音「パチッ!」っていうのを入れてありますが、気付いた人、いるでしょうか?
また、そのSoloが明けて、リフに戻ったときのDrumsは「Soloの興奮、覚めやらず」といった感じで、リズムを少し走らせています。この曲もステップ入力。因みにこのDrummingのモデルにしたのは・・・「Dave
Weckle」。Synthe&E.Piano Soloは白石君が演奏しています。彼の各リアルタイム入力Soloにはまったく手を加えていません。
唯一このアルバムでDrumsをリアルタイム入力した曲が「中央公園」です。
入力に使ったのは、Pro4の制作直前に“Boot”黒岩が買ったYAMAHAのコンパクトな DigitalDrum「DD-50」です。これ、結構楽しいんです。プラスチックの左右のフットペダルが付いていて、ちゃんとドラムを演奏しているような感覚で遊べます。
「DD-50」を使って演奏を取り込み、1take OK!で、思いっきりクオンタイズ!!私、ズルをしてしまいました〜ぁ!
ただ、完成データはトラック先頭で20stepもずらしてあるのです。そうすることにより「ゆったり感」のあるグルーブを出しています。
で、ライドシンバルやクラッシュシンバル部分を様々な種類のものに振り分けて完成!
細かなノリの修正を繰り返しているうちに、最近は3stepずらしてもノリの違いが分かるようになってしまいました。
このアルバムから、志を高く「一枚のトータルアルバムを作る!」という意識を強く持って制作に励むようにもなりました。そしてこのアルバム完成後間もなく、「DD-50」のフットペダルが壊れてしまいました。
“Boot”ごめんなさい。m(= =)m
入江"Anythin'" 茂明
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